経緯

モバイル型遠隔情報保障システムを始めることになった経緯などについて、2009年9月に行われた特殊教育学会での発表画面を用いて簡単に説明させていただきます。

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モバイル型遠隔情報保障システムを、実際に小・中学校で実証実験させていただいた実例のご報告をさせていただきます。
まず最初に、このシステムの背景を知っていただけるよう、当法人のご紹介からお話しさせていただきます。

長野県塩尻市の地域のサークルにて1996年 パソコン要約筆記を開始しました。
2003年 前身の任意団体立ち上げ、公的な場に通訳派遣し、大会・講演会、議会・選挙にてパソコン要約筆記を提供。
映画字幕 作成・投影なども市民団体と一緒に取り組んできました。
2005年 NPO法人認証取得しました。

県内各地で養成講座開催、パソコン要約筆記専用ソフトのマニュアル作成・販売にも取り組んでおります。

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当法人の特徴としては、難聴児を持つ保護者が、通訳者として活動に参加している、ということと、長野県内22の県・市町村議会に働きかけ、聴覚障害者の参政権保障運動にも取り組んできたことがあげられます。
その中で、パソコン要約筆記サービスを、介護サービス同等の福祉の専門職にできないか。
新たな就労の場として、継続支援ができる体制づくりをしたいと考えてきました。

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聴覚障害があっても多くの可能性を 秘めた子どもたちを、社会や企業で
役立つ人材に磨き、光らせるために!

"福祉"の分野だけでなく、より広い社会に、理解と認知を求め、
自分たちだけでは解決できない課題の解決に向けて、産業界への働きかけを開始しました。

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【課題】移動を伴う授業内容や、大人が入れない環境、
インターネット環境のない教育現場において、携帯電話を表示機にできないか?と考え、2007年 ソフトバンクモバイル(株) 「社会的投資プログラム」に
筑波技術大学のご協力をいただき、 応募。

2008年採択していただき、
『携帯電話を活用した遠隔での情報保障システムの開発・実験』
に取り組ませていただきました。

ppt5.JPG 同時期の2008年、本格的に、初等中等教育現場における情報保障に取り組み、
長野県内(小7,中3,高1) にて、学校の先生、保護者・組織、当法人連携で
『難聴児や保護者はもちろん、先生方や教育関係者に、要約筆記を体験してもらい、支援の必要性を確認しあう』事業を実施。

難聴児や保護者からは、非常に強いニーズ:毎日やってほしい!
そして2009年筑波技術大学を代表とした5者により
「モバイル型遠隔情報保障システム」 実証実験を実施
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「モバイル型遠隔情報保障システム」実証実験 実例です。

  • 教室内(移動なし)・・・算数、国語
  • プール開きで、プールサイド → リレーの練習で校庭
    風の影響で音声取得が厳しい、タイムラグもあり
  • 英語(ネイティブの講師によるゲーム[室内移動])→理科室
  • 体育館→教室
  • 教室→校庭→教室(避難訓練)
  • 社会見学(屋外→バス移動→建物内→屋外)
    配水場では機械騒音あり 補聴器× Bluetoothマイク○の発見
    建物内は通信確保が難しい。
  • 大教室(中学校で高等学校合同説明会)
    中学生は「ひっそり、目立たず」 → 年齢が上がるほど、心理的配慮と画面に対する慣れが必要になる。(神経を使い、緊張する)
ppt7.JPG 実証実験感想と経費以外の部分で課題の一部をあげてみました。
何回もやっている情報保障者側の立場では課題が多く目に付くようになりますが
  • 場所を選ばず、とにかく"便利" ・パソコンでは 対応できにくかった授業内容もOK・これからも活用したい
  • なによりうれしかったのは、難聴児の自立心の芽ばえでした。
    「もっと画面に出してもらえるように、(通訳者に必要な情報を)準備ができるようにがんばります。」という成長が見られる感想も届いた。
  • ・通訳者からは、現場に出向かずに済み、気遣いなし⇔一方で現場が見えない、音声トラブルなどで状況がわからない時には非常に不安。
    →回を重ねるごとに慣れてきた。
情報保障経験のある成人難聴者からは「こういうシステムを待っていた」との声あり。
課題としては、改善が難しい問題として、屋外での音声確保 、山中・建物内の通信の確保。
難しいけれど、大きなニーズとしては、先生と友だちの声といった、複数の声の取得・トラブル対応操作、バッテリー対応など、システムへの慣れが必要で、現在、初回などメンバー保護者が対応している補助作業の負担軽減を図りたい。
読める文字量、 一度に表示できる文字量を、個別のニーズに合わせて対応していきたい。
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経費の課題解決に向けて当法人が動き出している方法として、

  • 行政・教育委員会等へ
  • 数年かけてでも、愛媛県松山市の「学校生活支援員」制度のような制度の実現
  • 企業さまへは
    ・聴覚障害者雇用企業を中心に、寄付金or会費or協賛金の提供
    ・新しいシステムの提案、既存システムの活用ビジネス提案等を積極的に行うことで、情報保障活動への理解を広げていきたい。

*CSR事業に対する企業の取り組み方が変化しつつあること。

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  •  最終的目標: 国の支援体制確立

障害者差別禁止法(?)の制定
→介護保険と同じような サービスの提供体制の実現

誰かが、どこかのセクターが一手に抱えるとか、耐えなければいけないということのない、全ての関係者がWinWin であることが 重要になってくると思っています。